大腸ポリープとは COLORECTAL POLYPS
大腸の粘膜層の一部が隆起してイボのような状態になったもののことを言います。大腸ポリープがあっても、患者さんが自覚される症状はほとんどありません。健康診断などで気づく方が多いといわれています。 大腸ポリープは、「腫瘍」と「腫瘍以外(非腫瘍性といいます)」に分類されます。腫瘍は、良性の「腺腫」と悪性の「大腸がん」に分類されます。大腸がんは、正常な粘膜から腺腫、大腸がんへと変異する場合と、正常な粘膜から腺腫を経ずにいきなりがんになる場合があります。
一方、腫瘍以外のポリープは、基本的に正常な細胞が集まってイボ状になったものです。これらはさらに、大腸炎などの炎症を伴う腸の病気から発生する「炎症性ポリープ」と、一種の老化現象ともいわれる「過形成性ポリープ」に分類されます。
大腸ポリープを
放置した際の危険性
大腸ポリープは、腫瘍以外のものであれば、がん化することは少なく、経過観察だけのこともあります。 大腸ポリープを放置することが問題となるのは、腫瘍の場合です。腫瘍をそのまま放置すると、やがて組織が変化し、大腸がんになる可能性が高くなります。
中でも「腺腫」に該当する大腸ポリープは、がんの前段階という状態であるため、放置していればがん化する可能性が十分にあります。特に腺腫の直径が1cmを超えた場合、ポリープの中にがん細胞が含まれる可能性が高くなることが示されています。 さらに、腺腫の中には家族性大腸腺腫症という、遺伝的に大腸ポリープができやすい病気もあります。この場合、100個以上の大腸ポリープが若いころ(15歳ではすでに60%)からできるのが特徴であり、腺腫ががんになる確率は40歳で約50%、60歳でほぼ100%とされています。そのため、ご家族の中に、家族性大腸腺腫症の方がいらっしゃる場合は、放置せず、医療機関を受診しましょう。
大腸ポリープの
切除方法
METHOD
大腸ポリープの切除は主に、内視鏡を使用した手術を行います。大腸ポリープの内視鏡手術は、大きく3つに分かれます。
これらの治療方法は大腸ポリープの大きさや形によって使い分けられます。
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ポリペクトミー
きのこのように茎のある大腸ポリープに用いられる治療方法です。ポリープの茎にスネアという電気を流す金属性の輪(針金)をかけて、高周波電流を流して切り取ります。
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内視鏡的粘膜切除術(EMR)
茎のない平坦な大腸ポリープに用いられる治療方法です。生理食塩水などを粘膜の中に注入し、ポリープを盛り上がらせ、スネアをかけて切り取ります。
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内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
粘膜の下に少しずつ薬剤を注入し、専用のメスで病変の周囲の粘膜を切開して、ポリープの部分を少しずつ切り取っていきます。ポリープ部分の周りにある粘膜ごと切除する方法です。
内視鏡手術では、一般的に「直径6mm以上の良性のポリープ」と「リンパ節への転移の可能性がほとんどなく、内視鏡を使って一括で切除できるがん」が切除対象となります。ただし、5mm以下の場合でも、がんとの区別が難しい場合や、平坦なもの、へこんだ形のものは、内視鏡下での切除を行います。直腸やS状結腸でよくみられる、白色で直径5mm以下の過形成性ポリープは、経過観察の対象となります。 この場合は、医師とよく相談したうえで、治療をご検討ください。
日帰り大腸ポリープ
切除のメリット
MERIT
近年、内視鏡手術の各段的な進歩により、内視鏡下での「日帰り大腸ポリープ手術」を受けることができるようになりました。当院では、前もって血液検査などを行って日帰り大腸ポリープ切除が可能かどうかを検討します。可能な場合は、普段内服しているお薬などを確認して、手術の当日に備えます。
日帰りで大腸ポリープ切除ができることのメリットは、入院をしないため医療費を抑えることができるところです。また、術後は家に戻ってもいつも通りの生活ができるため、日常生活に支障をきたすことがありません。入院するとなると医療費もかかりますし日常生活を自分の過ごしたいように過ごせないという煩わしさもあります。また、小さいお子さんがいらっしゃるなど家を空けることができないという方もいらっしゃいます。そのような方でも日帰りで大腸ポリープを切除できるところが、この治療法のメリットです。